その1からの続きです。
15周目。レースも終盤となり残り5周。
4人の逃げが決まりました。
金子宗平、小石祐馬、小林海、山本大喜の各選手。
この集団にはチーム右京のエース、山本大喜選手と終盤のサポート役であろう小石選手もしっかりと入っています。やはりチーム右京は強い。
集団を力強く牽引する金子選手、そしてTOJの富士山ステージでも日本人最上位でゴールしていた山岳に強い小林海選手。
追走集団。
去年3位の山本元気選手に続き新城選手、留目選手、石上選手と言った実力者が、先頭集団から取り残されてしまいました。
それだけ、金子宗平選手の牽引が強力だったという事でしょう。
16周目。先頭は、相変わらず金子宗平選手。

追走集団。留目、石上、新城、岡の各選手。ワールドチーム所属の留目選手がこの表情。かなりキツそう

少し遅れて、中盤逃げていた増田選手と山本元喜選手。

増田選手と逃げた宮崎選手(12)、シエルブルー鹿屋、木村選手(70)、アイサン岡本選手(58)

いずれも日本でトップクラスの選手。そうした選手たちでさえ、展開次第では遅れます。
日本チャンピオンになれるのはこのレースの中のたった一人。もうこの位置からは先頭に追いつくのは難しいと分かりながらも、一縷の望みをかけて、ただひたすら、黙々とペダルを回す姿に心打たれます。
完走するだけでもとても困難なレース。全日本選手権の威厳を感じます。
17周目。再び金子宗平選手が先頭で上がってくる。何という底力!
チーム右京を応援しているのに、目の前を通過する時、「金子ー!」と叫んでいました。
それくらい、観る者を揺さぶる走りでした。
新城選手を先頭に、必死の追走集団。
新城選手同様、ヨーロッパから単騎参戦の留目選手も苦しそう。昨年同様上位に絡んでくる実力者アイサン石上選手、チーム右京もう一人のエース、岡篤志選手が続きます
18周目。やはり金子宗平選手先頭。速いペースを他の3選手に利用されてしまっている感が拭えない。
この頃になると、チーム右京を応援しつつも金子選手に勝って欲しい、という思いが錯綜します。
丁度、この先の下りを終えるとコース最高地点への登りへ向かうのですが、そこを通過する時の声援が聞こえてくる。
やはり
「金子ー!」の声援。
プロ選手よりも圧倒的に不利な条件で孤軍奮闘する社会人レーサーを応援する声が、周回毎に増えていく!
集団後方で、山本大喜選手が苦しそう。小石選手がチラッと見てしっかり確認していました。
山本大喜、頑張れ!
追走は、新城選手が先頭!しかし新城選手でさえ、この表情。
そして昨年2位、春先のレースでも活躍して、このレースでも集団スプリント時にはエースとしての役割もあったと思われる岡選手、脱落。
まさにサバイバル。
19周目。小林海選手、アタック!
山本大喜選手を勝たせたい右京は、金子選手のハイペースを利用して追走集団から逃げ切る為、小石選手が巧みに金子選手を前に出させていた印象がありました。
その右京vs金子の間隙を突いて、マリノ選手がアタック。ただ、本気で逃げようという感じではなく、相手の足を確認するための飛び出しのように見えました。
冷静に周りを見ていたマリノ選手。この動きが、後の展開に大きな影響を及ぼしたようです。
懸命の追走
最終周回。先頭は金子宗平選手。他の区間は見ていないのでわかりません。しかし、我々が見ていた区間では、殆ど金子選手が引いていた、という印象です。
新城幸也選手、ついに遅れる。落車で負傷した傷が痛々しい。
ゴール
小石選手のアシストにより山本大喜選手がスプリントでゴール!といくはずだった右京の作戦が最後の最後で崩れ、金子選手、マリノ選手のマッチスプリント!
マリノ選手、ゴール!鮮やかなスプリントを制しました。右京のレース運びと金子選手の力をうまく利用し、途中自らの力も誇示し存在感を見せつけながら、意地を見せました。
トップクラスの走力を有しながら、この冷静な判断力。
したたかなレース巧者。恐るべし、マリノ選手!
小石選手、4位でゴール。
中盤から終盤、レースをコントロールして、最後の最後、集団から遅れながらも山本大喜選手の為に捨て身のアタックを仕掛けた小石選手。
集団が通過する時は金子選手を応援しましたが、心の奥底では小石選手ももちろん応援していましたよ!
小石選手の献身的は走りはいつも素晴らしい。
ベテラン2人がゴール。健闘を讃えあう姿が美しい。
エントリー119名、完走19名。日本を代表する強者たちが、ボロボロになりながらゴールするシーンは、感動的です。
この後、ゴールする選手を全て見届けてました。もちろん、出るからには皆勝ちたいと思うのでしょうが、勝者は一人。
2位以下は、みんな一緒と言う人もいます。
しかし、ここまで走り切った選手の凄さ、自転車競技に掛ける熱い想いは十二分に伝わって来ました。

表彰式。
この日、最強チームの鉄壁のサポートを受け、万全の態勢で最終局面を迎えたはずだったのに勝ちきれなかった大喜選手、表彰式の直前、控えの椅子に座り関係者から質問攻めにあうマリノ選手の横で、虚空を見つめ放心状態だった彼の姿が印象的でした。
今年は残念でしたが、また来年、良いレースを期待していますよ!
ロードレース観戦は、楽しい。また来年、日本一ををかけた意地の張り合いが見たいです。